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時の彩り(つれづれ、草) 090

2009.12.22 小林康夫

忘年会(昨日)

で、昨夜は、UTCPのオフィスで忘年会。担当者、若手拠点形成員だけではなく、駒場の2年生からすてきな事務の方々、編集者、さらにはドイツからのチェンさん、フランスからのデュフモンさん、オーストラリアからのオデイさん、合衆国からのレイタンさん、イスラエルからのフルマーさん、NYUのアグネスさん、などなど外国人研究者もたくさん、さらには元UTCP研究員なども多数駆けつけてくれて、最後には木村副研究科長まで登場というわけでにぎやかにこの年を送りました。あちこちで英語やフランス語が飛び交うまさに国際拠点らしいパーティで楽しかったですね。事務の女性が「この雰囲気こそが大学ですよね」とつぶやいていたのが印象的でした。そうです、同じ地位年齢で固まる同質集団「一色主義」の自閉性を打破しなくては国際性なんて実現できるわけがない。UTCPは色とりどり!

上海

先週はこちらは上海でした。復旦大学での充実したシンポジウムの様子はすでに報告がアップされていますが、わたしが驚いたのは、東アジアの歴史の問題というわたしの専門からは遠い会なのに、その参加者の多くがすでに顔なじみだったこと。昨年、6月くらいだったか、ライデンのアクセルさんやメルボルンのカーステンさんらがUTCPオフィスに一同に介したことがあって、そのことをブログに書いたはずだが、あそこで合意されたことが今回実現したのだから、それも当然かもしれない。まさにUTCP共催にふさわしいイベントでした。

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さらに驚いたことがあって、それは復旦大学が用意してくれた丁寧で豪華な待遇ということもあるが、なによりも特筆すべきは、会場に入りきれない学生が廊下に立ったままで2日間半の中身の濃い、レベルの高い発表(中国語か英語)を、同時通訳のレシーバーなしで、少しもだれることなく集中して聞きとおしていること。しかも質問もいくつも出てくる。この積極性、この関心の高さは、残念ながら東京大学ではなかなか見出せない。このままでは、10年後の人文科学の世界では、中国の研究者のプレザンスだけが際立って、日本はひどく遅れをとることになるなあ、とちょっと暗い予言。日本(語)の壁のなかで自足する自閉主義をなんとかしたいですね。

なお、カーステンさんの吉本隆明の「転向論」についての発表は、とてもおもしろかったので、来年UTCPで再演してもらうようお願いをしてあります。

パリ第8大学・シンポジウム

で、上海から帰った翌朝は、パリ第8大学の学長一行と濱田総長との会談に同行して拙い通訳。三四郎池もご案内した。そしてUTCPオフィスでの歓迎会、居酒屋での食事の会と続いて、土曜まる1日のシンポジウム(これも報告はすでに上がっています)。わたしとしては、なかでもDenis Bertrandさんの記号学の発表がおもしろかった。なにしろ、昔は、わたしもパリ第10大学の記号学科博士課程にいたのだから。Bertrandさんとは、2日間にわたって記号学の現在についてかなり突っ込んだ話ができた。う~ん、とっくに滅びたと思っていた記号学がどっこい、まだ生き延びていた。学長のPascal Binczakさんも「ヤスオ、来年はぜひパリ8に来てくれ」とか言っていたし、わたしにとっての原点へと、螺旋を描いて、回帰するのも、還暦という年にはふさわしいかもしれない。

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