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欧州連合エラスムス・ムンドゥス「Euro Philosophy」、日本でスタート!

2009.03.23 └哲学と大学, 西山雄二, Humanities News

「エラスムスで来ているんですか?」――私がパリに留学中に何度も聞いたセリフだ。実際に、周りの多くの若者がエラスムス制度でフランスに短・中期間留学していた。

1987年、欧州連合で「エラスムス・プログラム」が創設され、EU内における国境を越えた学生交流が促進されてきた。これはEU内の他国の大学に1年間留学することに対して提供される奨学金制度で、最初の20年間で実に200万人以上の学生がこの制度の恩恵を受けて他国で研鑚を積み、EUの社会・文化のあり方に大きな影響を与えている。

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(ルネッサンス期最大の人文学者エラスムス。ロッテルダムに生まれ、トリノ、ケンブリッジ、アントウェルペン、バーゼル、ルーヴァンなど、ヨーロッパ各地を転々としながら研究・執筆活動を続けた。)

2004年、エラスムス計画のいわば世界版(ムンドゥス=「世界」)として「エラスムス・ムンドゥス計画」が創設された。これはEU外をも巻き込む学生交流の活性化を目指した交換留学制度である。特定の専門分野について、EU外をも含む複数の大学がコンソーシアムを組みエラスムス・ムンドゥス・マスタープログラムを構成し、教員と修士課程の学生が参加して合同で講義をおこなう。

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今春、エラスムス・ムンドゥスの哲学部門「ユーロ・フィロソフィー」が法政大学で開始される。これは、日本とヨーロッパの教師と修士学生たちが合同でフランス語で集中講義を実施し単位認定をおこなうという画期的な試みである。また、これと関連した講演会も東京と大阪でいくつか開催される。4月23日のUTCPでのエティエンヌ・バンブネ氏の講演「メルロ=ポンティにおける自然と人間」もその一環である。

エラスムス・ムンドゥス「ユーロ・フィロソフィー」 ⇒ こちら

原則的に言えば、参加学生はEUから派遣の修士学生5名に加えて、法政大学大学院を含む日本の大学院からの複数名である。ただし、正規の授業である点を了解の上で、他大学の大学院生や、さらには一般聴講者が本授業に自由聴講者として参加することは歓迎される。哲学のヨーロッパの現場と日本の現場とが広く交わるこの絶好の機会に、できるだけ多くの方が参加されることを期待したい。(文責:西山雄二)

2008-09年度、法政大学プログラムの概要
プログラムの詳細 ⇒ こちら(PDF)
プログラム・カレンダー ⇒ こちら

▲実施月日:2009年4月1日(水)-4月29日(水)の1ヶ月間
▲開講科目:(a)「形而上学」,(b)「現象学」,(c) 「科学哲学」の3科目
▲授業回数:各科目は全12回の授業からなる。
▲授業時間:授業各1回の授業時間は90分
▲授業担当:1科目12回の授業の6回をEUから派遣の教員1名が,残りの6回を日本人教員2名が各3回ずつ担当する。
▲成績評価:各科目で口答試験を実施し(4月29日に予定),3教員の合議で行う。
▲使用言語:フランス語
▲授業場所:法政大学大学院棟803教室
※法政大学大学院棟:〒162-0843新宿区市谷田町2-15-2(TEL03-5228-0550)
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html

●教員(EUから派遣の3名と日本からの6名の計9名)
フローランス・ケメックス(ベルギー・リエージュ大学)
エチエンヌ・バンブネ(フランス・リヨン第3大学)
アルノー・フランソワ(フランス・トゥルーズ第2大学)
金森修(東京大学)、鈴木泉(東京大学)
杉山直樹(学習院大学)、村上靖彦(大阪大学)
藤田尚志(九州産業大学)、安孫子信(法政大学)

「ユーロ・フィロソフィー」関連の講演会プログラム

●フローランス・ケメックス講演会
▲日時:4月17日(金)17:30-19:30
▲場所:法政大学ボアソナードタワー3階・マルチメディアスタジオ(0300教室)
    ※法政大学ボアソナオードタワー:法政大学市ヶ谷キャンパス
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html
▲主催:法政大学国際文化学部
▲テーマ:「われわれの有限性をどうするのか.バディウによるサルトルとフーコーの読み直し」
▲発表者:フローランス・ケメックス(ベルギー・リエージュ大学)
▲言語(通訳の有無):フランス語(逐次通訳)

●アルノー・フランソワ講演会
▲日時:4月18日(土)17:30-19:30
▲場所:法政大学九段校舎3階・マルチメディア教室
※法政大学九段校舎:〒102-0073千代田区九段北3-2-3
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html
▲主催:法政大学人文科学研究科哲学専攻
▲後援:法政大学情報技術(IT)研究センター 
▲テーマ:「ショーペンハウアーとニーチェの読者ベルクソンの問題」
▲発表者:アルノー・フランソワ(フランス・トゥールーズ第2大学)
▲言語(通訳の有無):フランス語(遠隔同時通訳システムを使用)

●フローランス・ケメックス講演会
▲日時:4月19日(日)13:00-18:00
▲場所:東京大学文学部法文1号館(2階)215教室(予定)
   ※http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html
▲共催:哲学会、フランス哲学セミナー
▲テーマ:「われわれの有限性をどうするのか.バディウによるサルトルとフーコーの読み直し」
▲発表者:フランス哲学セミナー学生有志+フローランス・ケメックス(ベルギー・リエージュ大学)
▲言語(通訳の有無):フランス語(大意を通訳)

●エティエンヌ・バンブネ講演会
▲日時:4月23日(木))18:00-20:00 【時間が変更になりました】
▲場所:東京大学駒場キャンパス18号館4F コラボレーションルーム2
※http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_17_j.html
▲主催:UTCP /
▲テーマ:「メルロ=ポンティにおける自然と人間」
▲発表者:エティエンヌ・バンブネ(フランス・リヨン第3大学)
▲言語(通訳の有無):フランス語(なし)

●大阪大学人間科学部ワークショップ
▲日時:4月25日(土)13:00-19:00(予定)
▲場所:大阪大学豊中キャンパス待兼山会館会議室
※http://www.osaka-u.ac.jp/jp/annai/about/map/toyonaka.html
(地図の左上、35番の建物)
▲主催:大阪大学人間科学研究科基礎人間科学講座
▲テーマ:「人間は理性的な動物ではない.メルロ=ポンティと人類学的差異の問題」(バンブネ)
「われわれの有限性をどうするのか.バディウによるサルトルとフーコーの読み直し」
(ケメックス)
「ショーペンハウアーとニーチェの読者ベルクソンの問題」(フランソワ)
その他
▲発表者:アルノー・フランソワ(フランス・トゥールーズ第2大学)+フローランス・
ケメックス(ベルギー・リエージュ大学)+エティエンヌ・バンブネ(フランス・
リヨン大学)+近藤和敬(大阪大学)+森元齋(大阪大学)
▲言語(通訳の有無):フランス語(テキストの翻訳を配布,かつ通訳あり)

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