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時の彩り(つれづれ、草) 015

2007.12.17 小林康夫

☆ 共生と詩

今学期3~4年生向けの授業では、日本の現代詩を読むセミナーをやっている。田村隆一からはじめて、鮎川信夫、吉岡実、清岡卓行、谷川俊太郎などなど毎回、1、2のテクストを選んで学生たちとじっくり「読む」という作業。

一応、UTCPのプログラムとも連関していて「時代」という問題をわたし個人は考えていて、それが通奏低音。吉岡実の「死児」なんて、もう何十年ぶりだろう、読みかえして、はじめて少し分かったような気がした。学生時代に買って読んだ詩集や「現代詩文庫」が研究室の片隅に埃をかぶっていたのを取りだして読んだりして、リヴァース!、わたしも「時代」を少し逆行する。でも、そんなふうに詩とのコンタクトを再開すると、京都のフォーラムでは高橋睦郎さんといっしょになり、夜のお酒が楽しかったし、友人の野村喜和夫さんとも「時代」について話をしようという計画があるし、ついには、なつかしの吉増剛造さんともお会いできて、急遽、UTCPで「共生と詩」のシリーズを開始するように待ったなしのドライブがかかってしまった。

14日に吉増さんが友人のクロード・ムシャールさん(駒場の国際シンポジウムのために来日!)を迎えた小さなパーティに招いてくださって、そこで吉増さんがムシャールさんのオルレアンのお庭を撮ったDVDを見せてくれたのだが、機材の調子がいまいちで、ちょっと気の毒だった。わたしの侠気みたいなものだが、吉増さんのムシャールさんへの友愛に、わたしの吉増さんへの友愛で応えようと、その場で、「では26日に駒場で吉増さんの映像を映します!」と約束してしまった。

実は、わたしが最初に詩について書いたのは、なんと二十歳少し出ていたか、吉増剛造さんと清水昶さんについてだった。気負った文章だったが(でもそのときの自分の言葉をわたしは覚えている、ゴッホ、ロートレアモン、心経も引用されてあった!。あのときのわたしの「生」への感覚はいまだに枯れ褪せてはいない!)、その若い評論に吉増さんは返事をくださった。そのときからの「友愛」というなら、もう三十年以上だ、そう思うとちょっと目が潤む。

というわけで、「緊急イベント」。そう、「友愛」はいつも「緊急」だから。というわけで、この会は「友人」だけに開く。面倒だが、事前登録をお願いしたい。

【緊急イベント】
UTCPワークサロン 「共生と詩(1)――吉増剛造と《友愛の庭》」 12月26日(水)

なお、来月以降、野村喜和夫さん、高橋睦郎さんもお招きして「共生と詩」のシリーズを続ける予定。

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