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時の彩り(つれづれ、草) 007

2007.10.20 小林康夫

☆ 哲学の樹(思考のパルティータ)

本サイトの右隅に小さな「樹」が出現した。「哲学の樹」ということになっているが、これをクリックすると、わたしが雑誌『未来』(未來社)で連載をはじめた断章テクスト「思考のパルティータ」が現れる。すでに「004」にも書いたが、UTCPをこれから運営していくことをひとつの重いチャンスと受けとめて、少しは歴史における共生の地平を開くべくわたし自身も老いた思考力をふりしぼろう、ということ。

こんなテクストにはたして意味があるのかどうか、われながら忸怩たるものはあるのだが、わたしが主宰する「時代と無意識」プログラムの参加者による各種のコメントを加えることによって、原形をとどめないまでに改変されるようなことを夢見ている。Webという「技術」を使って、なにか新しい思考の共同性が実現できるのかどうか、少し実験してみようか、という気持ちもある。いつか樹がたくさん増えてUTCPの森のようなものが生まれたらおもしろいのだが……


☆ giving mind (O’Dea さんの発表) 

 14日にUTCPでは研究生のオデイさんを招いてご自分の研究についての発表を行っていただいた。これはUTCPの若手研究員が英語による学術的な討議を学ぶ場としても設定されているので、非公開で行われたが、多くのPD/RAさらには事業推進担当者の参加も得て楽しく、かつ有意義な会となった。その内容についてはすでにPDの吉田さんが英語でブログを書いてくれている。英語の高度な学術発表を聞き、語り、質疑応答して、概要を書くということくらいが特別なことではなくて、できるようにならないと、これからの人文科学者は一人前とは言えないだろう、というのが趣旨の企画。今後もUTCPではこの種の企画を続けて行く予定。オデイさんには、UTCPの共同研究員になっていただくようにもお願いをして快諾を得た。今後の展開が楽しみ。わたしは個人的には、かれの発表がhaving mindという文脈のなかで展開されていたことが気になった。つまり「心」が「ある(to be in)」か「ない(not to be in)」かという、be = have の文法を遂に脱しない。それよりは、かれが最初に語ったエピソードの、地雷爆破ロボットに〈同情〉する軍人がまさにそうであったように、giving mindという文法のほうで語りたい気がしたが……会のあとで、お好み焼きをいっしょに食べながらそんなことを話しあったが、続きはまたいつか。

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