つまりかれは、自己同一性を喪っているというより、自己同一性を獲得しようとして、あるいは求めて――まさにオイディプスと同じように、だが同時にオイディプスとは反対に――「父」、とはいえ「実の父」ではなく、「象徴的な帰属性(父)」を殺す(=存在抹消する)のである。