この断章は、――さすが杉橋さんだ!――まるでニーチェの全体が凝縮しているようなテクストで、それを読むとかれの意志あるいは願いが、結局、「われわれのヨーロッパの道徳性」から浮上し、飛び立ち、それを超えた「幾千年にわたって俯瞰眺望のできる眼」をもつことであったことがよく理解できる。