スティミッリさんは、ショーペンハウエル哲学の究極とも言える自己を断念した禁欲的な「聖人」のフィギュール、それに対するニーチェの激しい批判を対角線上に展望しつつ、むしろ神の不在というモデルニテの根本的な条件のもとで、――ローゼンツヴァイクの表現を借りてだが――古典的な「英雄」のフィギュールに代わる、モダニティの受肉そのものとしての「聖人」のフィギュールの誕生をカントにまで遡って検討する。