先週も、パリの動物学者のドミニック・レステルさんから紹介されてお会いしたクリストファー・フィンスクさん(アバディーン大学)、モーリス・ブランショの研究家でもありさっそく今週は講演をお願いしてあるが、今回の来日の目的は日本料理の秘められた「spirituality」を経験することだと聞かされて、それならとわたしにとってそれが感じられる場所にお連れしたのだが、会って話しているうちにこの連載(第5回)でも触れた1980年のスリジー・ラ・サルのジャック・デリダの仕事をめぐる10日間の合宿討論会に二人とも出席していたことがわかって、ほら、あなたがあの発言をしたときに、わたしはこのあたりに座っていたんだ、とそのときの光と時間とが一挙に甦る。