帰国の飛行機のなかでこれを読んでくれたらしく、なかにわたしがベンヤミンのカフカ論のなかからとりわけ「カフカは祈ったことはなかったが――そんなことはわれわれの知らざるところだ――マールブランシュが《魂の自然な祈り》と呼んでいる、あのよく行き届いた心づかいこそ、いかにもかれにふさわしかった」☆2という引用中の「よく行き届いた心づかい」つまり「注意」という概念に触れたものがあることに応答してくれたのだろう、まさにその同じ引用で締めくくられる自分の昔の論文を送ってくれたというわけだった。