もちろん、この人間の内在的な普遍性の証明としての人文科学の意義――それは極論すれば、「文学」の決定的な重要性と相関している――はけっして無効になっているわけではなく、今後もわれわれがまもり続けるべきものとしてあるのだが、にもかかわらず、もはやそれだけでは、個人という「人間」の尺度をはるかに超えた今日の歴史的な現実に対して批判的にかかわることは難しい。