かれは言う――「システムにはシステムから逃れるものを忘れさせてしまうような効果がある。しかし不安、つまり親しいのではあるが未知の「主人=客」に取り憑かれ、揺り動かされた精神の状態は、精神を錯乱させるが、また思考をうながしもする。不安を排除するなどと主張したり、それに出口を与えないようにすると、それはひどくなる一方である。文明とともに社会的不安は増大し、情報とともに無意識的排除(forclusion)は増大するのだ」。