この資本の運動に照準をあわせるためには、従来の資本主義批判が前提としていた、まさにプロレタリアの自己実現を歴史のテロスとして設定する理論的な枠組みを根本的に変える必要がある、というのがポストーンの根本的な主張で、すなわち「生産手段の私有化と経済市場によって構造化された階級支配の関係」という伝統的な理解とは異なる資本の分析をマルクスから引き出さなければならないことになる。