最終的にはぐるぐると螺旋を描くようにそこに降りて行くことになるのだとしても、とりあえずは、その軌跡の一点から、つまり引用したパッセージから、ある種の接線を描くように、まったく別のテクスト、もはや直接的には法や正義や暴力が問題にならない(ようにみえる)テクスト、しかしじつは秘かに「テクスト」なるものの法、正義、暴力をある意味では執拗に問いつづけていると思われる奇妙な、異質な、みずからに対して異質な、そう、デリダがそこでベンヤミンのテクストのなかからとりわけ強調し標識づけている言葉を用いるなら、「幽霊的な」作品の方へとり憑いてみたいのだ。