颱風の余韻がまだ残っていてときおり強い風が吹き、窓硝子の向こうの街路樹がゆさゆさと揺れているのを眺めながら、枝ごとにけっして一様ではなく、複雑な動きで揺れるあの葉群の運動にも、そして遠くの空を横に走っている幾筋ものアモルフな雲の形にも、突きつめればとても単純な形式で書くことができる「理」があって、しかしそれらは、けっして意味も価値も構成しはしない。