論文のタイトルは「セキュリティの系譜学:生と死のはざまに見る帝国日本」で、〈セキュリティ〉という概念をいわば燈台として膨大な資料を読み込みながら、丸山眞男ほかの国家批判が最終的には、自然主義的な国家観に回収されるその限界線を、植民地「朝鮮」、あるいは関東大震災における朝鮮人虐殺などの忘却された「原・光景」の闇の光によって、批判的に照らし出した力作であった。